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help RSS 昨年の『名探偵モンク』その3 〜傑作エピソードが続く最後の7本とその後の意外な展開について〜

<<   作成日時 : 2005/03/29 16:15   >>

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※『名探偵モンク2』──本日22時からBS2でいよいよ放映開始!

第15話「ホームランボールの謎」(2004年7月6日放映・45分)
脚本家陣もだいぶ乗ってきたようで傑作エピソードがつづいているが、今回は日本語サブタイトルがルール違反かもしれない。大富豪のハモンドがカーナビに細工されて、妻とともに郊外で射殺された。ダイイングメッセージは「具はチリ、エビ、15枚のピザ」。モンクは犯人の狙いがハモンドではなく、一緒に殺された妻だったことと推理する。実は彼女はホームラン数の記録更新間近の大リーガーと不倫関係にあった。犯人の目的はどうやら新記録の阻止にあるらしい。しかしなぜ?(この「なぜ」がサブタイトルから読めてしまう)不倫相手とはいえ心から愛していた相手を殺された大リーガーはモンクにこれからどう生きていけばよいかアドバイスを求める。そして、モンクはこういうのだ。「彼女が愛した男のままでいつづけることです」──脚本家がモンクというキャラクターの本質を理解しはじめると、こういう名セリフが生まれてくる。

第16話「宙を舞う殺人者」(2004年7月13日放映・45分)
サーカスのMCが軽業師のような犯人に射殺される。男の元妻で空中ブランコ乗りが容疑者に挙がるが、彼女は事故で左足首を複雑骨折していた。今回はシャローナの「象恐怖症」が明らかになる。些細な理由に呆れたモンクが「もう大人なんだから吹っ切らなきゃ」と失言したことから彼女の怒りが爆発し、ふたりは険悪なムードに。恐怖克服のために調教師に頼んで象と親しもうとするが、今度は目の前で調教師が踏み殺されてしまう。やがてすべての真相が「象」に絡んでいることが明らかになって一件落着。シャローナの恐怖症も克服される。(『モンク』は何と今週以降3週に渡ってお休み)

第17話「同居人に文句あり」(2004年8月10日放映・45分)
すっかり白髪になった『刑事コロンボ』の新作が地上波で放送された今週、モンクの放送も再開された。コロンボの約半分の尺でこれだけの情報を盛り込んだ脚本はまさに神業に近い。世界最高齢者の死因を巡ってストットルマイヤー警部が妻に家を追い出され、あろうことかモンクと同居することになる。当然起こるべき騒動が起きるわけだが、もともと警部をスランプに追い込んだ5年前の轢き逃げ事件と今回の事件が同時に解決する妙は面白い。100年間開けられるはずのなかったタイムカプセルが事件の動機。そして、すべてが整理整頓されているモンクの部屋で唯一ソファテーブルだけが曲がった位置に置かれている理由がまた泣かせてくれる。

第18話「スター誕生」(2004年8月17日放映・45分)
シャローナの妹が舞台女優としてデビューするが、舞台上で小道具のナイフで刺したはずの相手が本当に死んでしまう。代役に抜擢された女優が怪しいのだが、彼女にはアリバイがある。モンクがシャローナといっしょに舞台上で状況を再現すると、その真に迫った演技と完璧にセリフを記憶していたことが演出家に気に入られて、殺された俳優の代役に抜擢されてしまう。当日になって事の重大さに気付いたモンクは、同時に事件の真相にも気がついてしまい、結局、劇場は事件解決の舞台となる。シャローナの妹が小道具のナイフを使ったことも事実で、小道具で刺された相手が苦しみもがいたことも事実。問題はそのあいだに何があったか。誰が舞台上にいたか? そして、解決の糸口はピーナツオイルのアレルギー。オリンピックに負けず劣らずモンクも絶好調。

第19話「容疑者は夢の中」(2004年8月24日放映・45分)
精神分析医は旅行に出かけてしまうし、シャローナの元夫トレバーがベンジーの誕生日に帰ってきて2人は復縁しそうな雰囲気でモンクはすっかり落ち込む。(「もうこんな変人をやめたい」という愚痴が笑える)一方で遺産相続でもめている3姉弟に次々と小包爆弾が送られてくる事件が発生。小包の紐の結び方からモンクが犯人とにらんだ長男は何と事故で昏睡状態にあった。しかも彼はストットルマイヤー警部の車にわざとぶつけて煽った挙句に事故を起こしていた。行き場のないモンクが精神分析医の代わりに意識のない犯人に悩みを打ち明けるシーンは見事に構成されている。仮にモンクの推理が正しかったとして、犯人はどうやって小包を届けたのか? ヒントは長兄の家の天井に接着剤で貼り付けられた無数のケチャップの壜にあった──これまた何とも秀逸な手がかり。いよいよ第1シーズンも幕引きが迫っている。

第20話「密室殺人と美女軍団」(2004年8月31日放映・45分)
雑誌「サファイア」発行人が完全密室の自宅のトレーニングルームで事故死するが、秘書から依頼を受けたモンクは室内の「異様な」状況に殺人の可能性を見出す。容疑者は雑誌オーナーで「サファイア御殿」と呼ばれる豪邸に大勢の美女をはべらせているデクスター。『プレイボーイ』がモデルになっていることは明らかだが、デクスターの場合、以前は売れない電子工学雑誌を発行していて、たまたま表紙に美女を載せたら売れたという過去がある。また彼には今年のサファイアガールと「ベッドの中に」いたというアリバイもあった。それでも彼を疑いつづけるモンクをあろうことかデクスターは脅迫してくる。そして、その材料は10代だったシャローナが生活のために撮らせた「写真」と雑誌掲載を許可した「誓約書」だった。ここからプロットは2本線に分かれる。最悪の場合を考えて息子ベンジーに許しを請い、デクスター邸に乗り込んでいくシャローナ。一方で美女たちに生理的な嫌悪感を隠せないモンクは「トゥルーディの最後の詩」を読み上げて彼女たちを改心させたりしながら、あの密室のどこが「異様」だったのかヒントをつかむ。その解決編は筒井康隆『富豪刑事』の一編にある密室殺人の傑作トリックをちょっと髣髴とさせる。

第21話「猟奇的連続殺人」(2004年9月7日放映・45分)
まったく共通点のない殺人事件が11件起きる。モンクは現場で使われた紙幣の番号が連続していること(驚異的な記憶力!)から、これを連続殺人と断定。しかし、被害者には有権者登録先が同じということ以外に共通項がない。何人かが同じ保険会社のカレンダーを使っていたが、その会社の社長まで殺されてしまう。それでもモンクは手がかりを掴み、11人と共通するもう一人の人物がいたことを推理。その人物の家からは人間の指と別件の死体の写真が出てくる。保険会社社長殺害の現場に居合わせたモンクは、12人目の人物が犯人なのかどうか「面通し」をするが、この場面が傑作。ストットルマイヤー警部は4番を指名させたい。モンクはいわれたとおり4番を指名してこういうのだ──「4番の方、番号札が曲がっている」(ただし、彼の名誉のためにいっておくと札を直した男の爪が噛まれていないことを見て、モンクは彼は犯人でないと推理する)その他今回はシャローナが次期市長候補と目されている副市長と付き合っていることが新聞に載って、周囲が盛んに彼女をちやほやしたり、モンクを毛嫌いしているクリーニング屋の東洋系女性が最後に犯人を特定する証言をしたり、「頭にパイプが突き刺さったままの男」というブラックなキャラクターが登場したり、最後まで飽きさせない。第1シーズンはこれで終わりだが、まだまだ余力を残した終わり方で、早くつづきが観たい。

最後にひとつ。殺人現場となった映画館に貼ってあるカミングスーン・ポスターに「ザ・キラー」というのがあった。私の記憶が確かならば(いや、不確かなので調べてみたら)この映画は先月地上波でも放映された『新刑事コロンボ 奪われた旋律』で犯人の映画作曲家クロフォードがアカデミー(らしき)賞を獲った架空の映画である。アメリカで放映された時期はさほど離れていないのでありえないことではないが、問題はコロンボがユニバーサル作品、モンクはタッチストーン作品だということだ。ちなみに上記の映画館ではヒッチコックの『サイコ』と『知りすぎていた男』の2本立をやっている。これらもユニバーサル映画。ひょっとするとタッチストーン・テレビジョンが製作しているドラマはユニバーサル・スタジオで撮影しているのだろうか? 最後の最後に意外な「謎」が残ってしまった。だって、モンクがいるサンフランシスコから南下すると、同一「虚構平面」上にあるロサンジェルスにはコロンボがいるということですよ。だとしたら、当然期待してしまうじゃないですか──「刑事コロンボVS名探偵モンク」

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