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zoom RSS 連載091/400回 【PRIZONER】 03話「絶滅」 21章

<<   作成日時 : 2005/04/18 15:16   >>

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1321.1 川床
〈青龍江河〉の水量は日を追って少なくなり、多くの支流が干上がって乾季のあいだは涸れ川になってしまう。雨季には豊かな草原となって草食獣に埋めつくされる河岸も、この時期に動いているものといったら、立ち昇る陽炎だけだった。

今朝アックスが目を覚ますと、彼のテントのポールの下にブーゲンビリアの花が一輪さしてあった。それが仲買人のいつもの合図だった。ベースキャンプには不寝番を立てていたが、仲買人の接近に気づいた者はいなかった。

遠くから聞き覚えのあるブーンというプロペラ音が響いてきた。そして、あの黒い人工の鳥が一直線に降下してきて粘土質の涸れた川床に着陸した。アックスが待っている砂岩の丘の下までタキシングしてきて、エンジンが停まった。

遠目にもウルトラライトの翼には修理した跡が見えた。

仲買人はゆっくりとした足取りで砂色の斜面を上がってきた。手袋をした手でアックスと握手をして、肩をぽんと叩いた。
「遅れてすまない。あれでなかなか操縦が難しいんだ」

「昨日、墜落したものだと思っていたが」

「昨日は引き分けさ」
仲買人は、まるでスポーツの結果を話しているかのように平然としていた。

アックスはたっぷり皮肉を込めていった。
「いや、おれたちの完敗だろう。〈三辰〉はまた一歩絶滅に近づいた」

「ほとんど苦痛は感じなかっただろう。おまえがあれほどの腕前だとは知らなかった。判断力もよかった。なかなかいいトロフィーだったろう?」

「見ていたんだな、どこにいた?」

「どこにもいないさ。あとから話を聞いただけだ」
相手はもっともらしく答えた。

「試験にパスしたと考えていいんだな?」
アックスもポーカーフェイスで応じた。肚の探り合いがつづいていた。

「それはまだだ。すべては計画がうまく運んでからだ」

「計画?」

「ああ。詳しい話はいずれ伝える。昨日のうちに準備万端整ったが、その前に片づけなければならないことがある」

「密猟品の件だろ?」
アックスがいった。

仲買人は満足そうにうなずいた。

「いつやるんだ?」

「いつがいい?──おまえが決めろ」
仲買人がそういった。

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