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zoom RSS 【ジェイムズ・ボンド映画の基礎知識】第24作『007/スペクター』(2015年)

<<   作成日時 : 2016/02/17 16:18   >>

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日本での公開も終息したので、いよいよ最新作について語ることにします。ただし、この作品は「ネタバレ」無しで語ることが非常に難しいので未見の方は読まないようオススメします。

前作『スカイフォール』とほぼ同じ座組みで作られた本作。これまでに述べてきたように犯罪組織スペクターの再登場という「サプライズ」によって期待感は十分だったし、製作費も史上最高(こんな比較に意味はないが、第1作『ドクター・ノオ』の245本分!)で何一つ手抜きはない作品に仕上がっている。

ただし、これをどう評価するかとなると、@これが6代目ボンド=ダニエル・クレイグ主演の「最終作」となった場合、A次の作品もクレイグが続投した場合(年齢的にも、おそらく契約的にも、もう一本は行けるはず)に分けて考える必要がある。単体としては、なかなか語りにくい作品なのだ。

@ダニエル・クレイグ主演最終作となった場合
『カジノ・ロワイヤル』から『スペクター』までの4本でトータル約540分。1回45分のテレビドラマ換算で12本分、ちょうど「シーズン1」が終了したところと考えると作品の性格が見えてくる。少なくとも『スペクター』に関していえば、一本の映画としてというより、近年の海外ドラマの「ドラマツルギー」で描かれていることは間違いない。

可能であれば若干の未公開シーンなどを加えて、テレビシリーズに編集しなおしてもらっても何の違和感もなく観られるだろう。それぐらいにこの4本は話に「一貫性」があり、あらゆる「伏線」が最後に回収されているといっていい。

面白いのは、おそらく『カジノ・ロワイヤル』が製作された時点ではまったく想定されていなかったはずの内容が、あたかも最初から綿密に計画されていたかのように展開していった点だ。女性Mを演じたジュディ・デンチの「年齢」さえも含めて、すべてのピースが奇跡的に嵌まっていて、当初はまだ「007」ではなかったボンドが、最後にはチームリーダー的な側面まで見せて見事に成長している。ここでいったん「完結」させるのは確かに美しい終わり方だと思う。

しかし、シリーズ自体は終わらない。当然のことながら7代目ボンド探しが行われることになり、シリーズの継続方法がまたしても大きな悩みどころになるだろう。実際問題として、クレイグ=ボンド時代の重苦しいシリアス路線をこのまま「深めて」いくことは危険だし、かといって「スペクター」との戦いを継続するのも時代に即した感じがしない。

可能性として残されているのは、昨年秋に公開された『コードネーム U.N.C.L.E.』(主人公の一人「ナポレオン・ソロ」の名付け親はボンドの原作者イアン・フレミングである)でやったように、冷戦時代に舞台を戻してしまうことだろう。同時にもう一つ、原作タイトルの「2周目」に突入してしまうことも勧めたい。例えば『ロシアより愛をこめて』を同一シリーズ内でリメイクしてしまうのだ。

さすがに小説版第1作『カジノ・ロワイヤル』から再始動は無理だとしても、二作目『死ぬには奴らだ』から原作の順番に忠実に映画化し直すというのは十分にありだと思う。(ついでいうならポール・マッカートニーが健在なうちに、ぜひもう一度『死ぬには奴らだ』をタイトルバックで歌ってほしい)

Aダニエル・クレイグがもう一本主演した場合
問題はこっちである(だいぶ可能性が少なくなってきたようだが)。犯罪組織スペクターを再登場させたダニエル・クレイグの4作目は過去の例でいえばショーン・コネリー時代の第4作『サンダーボール作戦』のスタイルになるべきだと思っていた。

重要なのはスペクターの首領エルンスト・スタヴロ・ブロフェルドの登場のさせ方で、『サンダーボール作戦』の彼はまだスペクターの「No.1」とだけ呼ばれ、白いペルシャ猫を抱きながらも顔は見せなかった。そして、次回作『007は二度死ぬ』で初めてその顔を見せたときには、正直ちょっとガッカリしたものである。人間とは思えない「悪党」がやはり一人の人間だったことへのガッカリ感とでも言おうか。その落差を、今回は一本の作品のなかで描いてしまったのだ。

さらにはラストでボンドはあえてブロフェルドにとどめを刺していない。そうすることでボンドの成長の完成を描き、もはやスペクターでさえ敵ではないことを示すためである。そこからどう次に展開させていくのか? これはなかなかの難題だ。

これまでの4作品で示してきた「連続性」「一貫性」を壊すわけにもいかない。しかもブロフェルドだけでなく、ボンドガールのマドレーヌ・スワンも「生きて」いるし、おそらく殺し屋ヒンクスも生き残っているはずだ。(なぜなら彼はかつての「ジョーズ」だから)

前作『スカイフォール』では、一度はMI6に捕まったシルヴァがやすやすと脱走に成功している。ブロフェルドだってそれぐらいのことはやれるだろう。一方でボンドとマドレーヌ・スワンの関係もあっさり解消というわけにはいかない。そこで当然のように思い浮かんでくるのが第6作『女王陛下の007』の展開だ。

確かにクレイグ=ボンドにハッピーエンドは似合わない気がする。とはいえ、この流れを採用してしまうと、次の第25作でダニエル・クレイグが卒業してしまうのは非常に困る。原作への忠実度が高い『女王陛下の007』の後、映画のトーンはショーン・コネリーの復帰作『ダイヤモンドは永遠に』で一転してしまうが、小説の方はそうではない。

結婚した直後に愛妻トレーシーを殺されたボンドは、半ば自暴自棄の状態でいわばリハビリミッションとして「日本」に送られ、そこで偶然にもブロフェルドへの復讐を果たす(原作版『007は二度死ぬ』)。しかし、その後記憶を失ってロシアに流れ着き、そこで洗脳されて、あろうことが「M暗殺」の刺客としてロンドンに戻ってくるのだ。幸い暗殺は未遂に終わり、洗脳も解かれ、そして再び現役復帰したボンドが最初に戦うのが「黄金の銃を持つ男」ことスカラマンガとなる。

次の一歩をこんな風に歩み出すなら、原作のこのドラマチックな流れは再現してほしいし、ついでに日本にも来てほしい。しかし、これはもはや「シーズン2」といってもいい内容で、完結までにはさらに10年はかかってしまう。思い切ってテレビシリーズにでもしてくれないかぎり、ダニエル・クレイグが演じきるのは不可能だろう。

何はともあれ注目すべきは次の一作である。ちなみにダニエル・クレイグの再登板の秘策として、7代目ボンドに対する「敵役」で登場するという手もある。もちろんその場合、映画化される原作は『ロシアより愛をこめて』で、クレイグが演じるのは名優ロバート・ショーが演じた殺し屋レッド・グラントだ。『スペクター』での列車内の闘いを見て、ようやくそのことに気がついた。これをやってくれたらきっと今回以上の期待作になるはず……とはいえ、どんな作品であれ公開されたら必ず観に行きますけどね。

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