パワードブック・ダイアローグ

アクセスカウンタ

zoom RSS 004回 【PRIZONER】 01話「原典」 04章

<<   作成日時 : 2004/12/16 00:45   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

1104.1 眠り >>> 
私たちは目下の状況について話し合った。考える時間が無限にあるためか、各人が各様にさまざまな推論を組み立てていたことが私には興味深かった。

ひそかに私がドクターと呼んでいる女性は、これは夢に違いないといった。しかもこれは彼女自身が見ている夢で、私を含めた他人はすべてその夢のなかの存在だというのだ。私はその点についてだけは納得できなかったが、彼女の気持ちは理解できた。私も同じことを考えていたのだ。これはわたしの夢ではないかと。

「これがあんたの夢だというなら、おれが見る夢とはずいぶん違う」
そういったのは金髪の男だった。
「おれはこんなに明るい夢は見たことがない。あんたはこんなに圧倒的な光が想像できるのか? 影さえ生まれない完全な光が夢に出てくるのか? だとしたら、そいつはすばらしい」
彼は訝しげにそういった。

「要するにこれが夢だということを、この夢のなかで証明しろということなのね? いいでしょう。受けて立つわ」
彼女は決して気分を害しているようには見えなかった。夢のなかにいる人間とは到底思えないほど冷静だった。

「どうするんですか?」

私の問いかけに、彼女はしばらく考えてから答えた。

「発想を変えてみましょう。誰かさんがいうとおり、ここが夢の世界ではないことを証明しようとすればいいのよ」

彼女が提案したのは、今ここで誰かが眠って、その眠りのなかで夢を見たかどうか確かめるという方法だった。

「二人ずつ組になって、一方が眠り、一方が観察する。夢を見ている状態では眼球の運動が活発になるわ。そのあとで実際に夢を見たのかどうか本人に確かめてみればいい。私の知る限り、夢のなかでさらにREM睡眠に入るなんてことはありえないわ」

実際、私たちはそのとおりにした。時間は無尽蔵にある。

個人的な気持ちをいえば、私は夢であってほしかった。そして、こんな馬鹿げた実験をしているあいだに早く目が覚めてほしかった。目覚まし時計のベルをこんなに心待ちにしたことは未だかつてなかったと思う。

結果は芳しくなかった。繰り返し実験を行ったが誰一人夢を見ず、REM睡眠の状態にもならなかった。それどころか本当に眠っていたのかどうかさえ怪しいものだった。

ドクターの推論は証明不可能という結論になった。


〔解説〕
▲ようやく「会話」が成立しました。読みやすさを考えて、会話文はあえて「太字」にしてありますが、効を奏しているかどうかよくわかりません。

▲「影さえ生まれない完全な光が夢に出てくるのか?」というセリフが出てきますが、これは常日頃から私が疑問に思っていることのひとつにつながっています。例えば、目を瞑って「完全に光に包まれた状態」を脳裏にイメージできたとします。そのとき見える「光」はどこからそのエネルギーを得ているのでしょうか? 脳内を流れる「生体電気」とでもいうものからでしょうか?──「ゾーン」の設定を思いついたのも、そんな「問い」からだったかもしれません。(詳細はもう忘れてしまいました)

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
連載111回 ブログ小説の冒険 【プリズナー】 「シェフ」へのインタヴュー 01章
▼週末の約束をほっぽらかしておいて、奥山幸生が突然下記のような文章を送ってきました。まったくどういうつもりなんだかねぇ。まあ、連載の谷間でもあるので掲載してあげようと思います──というわけで、「目次」以外の文責(タイトル表記の指定を含む)はすべて奥山幸生にありますので、ひとつよろしく。 ...続きを見る
パワードブック ブログ小説&映画コラム@...
2005/05/16 13:32

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
004回 【PRIZONER】 01話「原典」 04章 パワードブック・ダイアローグ/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる